海山みどり(執筆メンバー)
自宅待機の状況で、お菓子を作りたくても小麦粉、イースト、バターが品切れで作れませんでした。
小説はその点、脳内の妄想だけが材料だから、いつでも手軽に気楽に書くことができるはずなのでは? と思うのに、脳内の妄想は自由気まますぎて制御不可能です。PCの前で七転八倒します。
こんなに苦しいのになぜ続けるのかというと、せっかく生まれた登場人物がいとおしいからです。
創作はキャラクターから生まれるタイプ、海山みどりです。
今号のテーマは「わるい大人たち」。
テーマを聞いた瞬間、これは絶対に子どもを主人公にして、大人相手にとにかく頑張ってもらいたいと思いました。
残念ながら身近に子どもはいないのですが、悪い大人に関しては、己自身はさておき、身近にもTVやネットにもあふれんばかりでこれで大丈夫かと心配になるぐらいです。
でも、世の中、悪い大人だけでなく、いい人も多く、また悪い大人もいい大人も凌駕する変な人も多いです。
私が描く物語のなかでは、そういうちょっと変わった人達の応援もたくさんしていきたいです。
今回の物語のきっかけは、高橋源一郎氏のラジオ「飛ぶ教室」でカミュの『ペスト』を扱った回で、「人間の力を超えた大きなものに襲われた時に人はどんなふうに混乱して、どういう風に立ち向かうかというのを徹底的に考えた小説」という冒頭の言葉でした。
いつか今の厳しい現状を直接的に書きたいと思いつつ、まずは身近に起きるかもしれない話としての作品を描きました。
小説を執筆するというのは一人の作業で、書いている本人には、自分の作品のなかにあるのかもしれない良さ、欠点などわからないことが多いです。
もしかしたらこの広い世界の誰かの寸時の暇つぶしに役立つかもという期待もあります。
厳しい批評も欲しいような、欲しくないような。
作品は書くことだけではなく、発表の場所も大切だと教えてくださり、『爆弾低気圧』に力強いエールとご尽力をくださったほしお先生に、改めて感謝申し上げます。